シグナル伝達:タンパク質のリン酸化と脱リン酸化
シグナル伝達の役割
トレーニングを行うと筋肉が成長したり、持久力が上がったりしますよね。これがなぜ、どのように起こっているか考えたことはありますか?今回は、トレーニングなどの刺激が細胞内でどのように伝達されていくのかについて勉強しましょう。
リン酸化と脱リン酸化
タンパク質のリン酸化(phosphorylation)とは、タンパク質を構成するアミノ酸のうちセリン、スレオニン、チロシンのヒドロキシ基(-OH)がリン酸化されることを指します。具体的には、上記のアミノ酸が酵素の作用を受けてATPという物質からリン酸を受け取ります。
脱リン酸化(dephosphorylation)とは、逆にリン酸が外れ元の状態に戻ることです。
リン酸化と脱リン酸化は、細胞内のシグナル伝達において、オンとオフのスイッチのような役割を果たしています。タンパク質がリン酸化されると活性化状態となり、脱リン酸化によって不活性化される場合が多いですが、タンパク質によっては逆の場合もあります(リン酸化で不活性化)。
リン酸化を触媒する酵素のことを、プロテインキナーゼ(protein kinase)と呼び、脱リン酸化の際に作用する酵素のことを、ホスファターゼ(phosphatase)と呼びます。
図解
今回も一枚のスライドにまとめました。
図ではタンパク質全体のうち、アミノ酸一つ分を表しています。右側の、下に向かう矢印がリン酸化を、左側の上に向かう矢印が脱リン酸化を表しています。言い換えると、下側のアミノ酸がリン酸化された状態で、上側のアミノ酸が脱リン酸化された状態です。リン酸化と脱リン酸化によってONとOFFの状態が表されるというのはとてもわかりやすいですね!
リン酸化と脱リン酸化で活性か不活性が伝達される仕組みがわかったね。
これで、筋トレをするとどうやって筋肉が成長するのかを理解する準備ができたよ!次回からはトレーニングをすると細胞では何が起こっているのかを勉強していこう!